World Music|世界の音楽とことばのアーカイブ

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Tuesday, 11/8/2026 | 6:00 UTC+9

南インドは歌う

先日、久しぶりにMDを手に取った。

2006年12月、チェンナイで録音した南インド古典音楽のライブだ。

MDという言葉自体が、すでに懐かしい。再生機もなくなり、長い間聴くことが出来なかった。しかし先日、中古のKENWOODのコンポを手に入れた。レコードもCDもカセットもMDも再生できる。

昔録音したMDの中に、20年前のチェンナイが眠っていた。

2006年12月。

南インドが音楽に染まる季節。

ずっと思っていた。一度、そのシーズンに訪ねてみたかった。

毎日リキシャに乗り、昼も夜も会場を巡った。三週間あまり、南インドの伝統音楽にどっぷり浸かった。

演奏家の名前を追いかけていた。

その中でも、マンドリンのU.シュリニバースは特別な存在だった。

彼の演奏はヨーロッパでも聴いている。

リメンバー・シャクティの一員として出演したバルセロナ、モンジュイックの丘の野外劇場だった。

しかし、彼の本当の姿はチェンナイにあったように思う。

MDから流れてきたのは、若き日のシュリニバースのマンドリンだった。

歌っている。

ただ技巧を披露しているのではない。

マンドリンが歌っているのだ。

画像

そして、改めて気づいた。

南インド音楽は歌う。

マンドリンも歌う。

ヴァイオリンも歌う。

ムリダンガムも歌う。

ガタムも歌う。

ムールシンも歌う。

さらには、後ろで絶え間なく鳴り続けるタンプーラさえ歌っている。

会場の聴衆もまた歌っている。

演奏の見事な着地点では、客席の爺様も婆様も迷いなく拍手を送る。

誰かに合わせているのではない。

みんな音楽を知っているのだ。

その拍手もまた音楽の一部になっている。

二十年ぶりに聴くMDの音は意外にも高音質だ。

そして、そこには会場の空気があった。

2006年12月のチェンナイがあった。

そして、もうこの世にいないシュリニバースがいた。

来年の12月、またチェンナイへ行きたいと思っている。

なぜなのだろう。

きっと答えは簡単だ。

南インドが僕に歌っているからだ。

About

世界の音楽との「出会い」(自己紹介 noteへのリンク) 大阪のレコード店で出会ったインドネシアのダンスミュージック ダンドゥット(DANGDUT)の女王、エルフィ・スカエシ(Elvy Sukaesih)と言ってもまずは誰もわからないだろう。インドネシアの美空ひばりと言ってもピンとこないな、きっと。それに正しくもない。インドネシアは多様な民族の集まる国だから国民を代表する歌手はいない。ひとつの大衆音楽の女王である。 大袈裟だが、このレコードと出会わなかったら、自分の人生は変わっていただろうと思う。ただ、それはわからない。でも、出会うべくして出会ったのだろう。 https://note.com/jirorhythm/n/n936acb145d0e

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