World Music|世界の音楽とことばのアーカイブ

アフリカ、インド、中東、南米、東欧、バリ、ジャズ、民謡、スーフィー、クラシックまで。 蒐集・試聴・旅・記録を通じて世界の音楽文化を紹介する日本語のワールドミュージック・メディア。

Wednesday, 17/6/2026 | 8:09 UTC+9

ラジャスタンのカセット

今朝もクラシック音楽からスタートした。そこからフラメンコとチルアウトが混ざったようなCDをかけ、気がつけばずっとワールドミュージックばかり聴いている。

音楽というのは不思議なもので、一枚が次の一枚を呼ぶ。

スペインから中東へ。

中東からアフリカへ。

そして、今度はインドだ。

棚を眺めていたら、こんなものが出てきた。

『RAJASTHANI FOLK TUNES ON BEEN』

ラジャスタンの民俗音楽を収めたインドのカセットテープである。

これこれ。

こういうのを見ると、つい手が止まってしまう。

『RAJASTHANI FOLK TUNES ON BEEN』

ラジャスタンの民俗音楽。

インドで買ったカセットだ。

たぶん三十年以上前になる。

初めてインドへ行ったとき、僕はデリーで騙された。

空港から市内へ向かうはずが、なぜか旅行代理店へ連れて行かれ、危うく高額なツアーを契約させられそうになった。

今では笑い話だが。

人生初のインド。洗礼を受けたのだ。

何もかもが日本と違った。

色も匂いも、人の距離感も。

このカセットは、その頃どこかで買ったものだ。

ジャケットにはターバンを巻いた男たちが写っている。

録音も決して良くない。

演奏も洗練されているとは言い難い。

けれど再生ボタンを押せば、一瞬であの頃のインドへ戻れる。

音楽というより、記憶の装置だ。

メルカリで売ろうかとも思った。

でも、値段を付けるのが難しい。

冗談で十万円にしようかと思った。

誰も買わないだろう。

いや、売れてしまったら少し困る。

こういうものは、音源としての価値より、自分の人生の一部だからだ。

旅をしていると、気がつけば色々なものが増えていく。

そして、こんなカセットテープ。

本当に大切なのはモノそのものではなく、その向こう側にある時間なのかもしれない。

ジャイプールの乾いた空気。

騙されたばかりのそう若くもない自分。

そして、何も知らなかった頃のインド。

一本のカセットから、そんなことを思い出していた朝だった。

いつか、またインドに行ったら、カセットを買ってこようと思っている。

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About

世界の音楽との「出会い」(自己紹介 noteへのリンク) 大阪のレコード店で出会ったインドネシアのダンスミュージック ダンドゥット(DANGDUT)の女王、エルフィ・スカエシ(Elvy Sukaesih)と言ってもまずは誰もわからないだろう。インドネシアの美空ひばりと言ってもピンとこないな、きっと。それに正しくもない。インドネシアは多様な民族の集まる国だから国民を代表する歌手はいない。ひとつの大衆音楽の女王である。 大袈裟だが、このレコードと出会わなかったら、自分の人生は変わっていただろうと思う。ただ、それはわからない。でも、出会うべくして出会ったのだろう。 https://note.com/jirorhythm/n/n936acb145d0e

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