World Music|世界の音楽とことばのアーカイブ

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Monday, 19/1/2026 | 8:48 UTC+9

「マドンナが出会ったカポ・ヴェルデの“バトゥーケ” — 女性のリズムが世界を揺らす瞬間」

行ったこともないのに、なぜか惹かれる国──カポ・ヴェルデ

行ったこともないのに、なぜかずっと気になっている国がある。カポ・ヴェルデだ。

昔、この国の音楽を集めたコンピレーション盤を出したことがある。

あの哀愁のある独特の響きに惹かれたのがきっかけだ。

リスボンには「カポ・ヴェルデの館」のような場所があって、現地の人たちが集まって食事をし、歌い、演奏する空間にも足を運んだ。

ダカールでは、カポ・ヴェルデの音楽だけが流れるクラブにも行ったことがある。

ただ最近、ふと思った。
自分の中でカポ・ヴェルデ=哀愁、ファドと共鳴する“暗めの音楽”というイメージが強すぎたのかもしれない。実はもっと生々しく、もっと肉体的で、もっと打楽器が中心の音楽があったことを思い出した。「Batuque(バトゥケ)」だ。

今はYouTubeで検索すれば、昔の映像が普通に出てくる。本当にすごい時代だ。そして先日、そのバトゥケが Madonna にまで影響を与えていたことを知った。

Madonna の「Batuka」とバトゥケとの出会い

2019年、Madonna はアルバム《Madame X》の中で「Batuka」という曲を発表した。これはポップ・ミュージックというより、カポ・ヴェルデの女性太鼓集団 Orquestra Batukadeiras と一緒に作った“共同宣言”のような曲だった。

バトゥケは、植民地時代に奴隷として海を渡ったアフリカ人の子孫たちが、女性を中心に歌と太鼓で守り続けてきた伝統だ。太鼓を禁じられても、歌い、叩き、踊ることをやめなかった。その歴史が音の中に残っている。

Madonna はリスボン滞在中に彼女たちの演奏を生で聴き、「こんな音楽は初めてだ」と衝撃を受けたという。そこから生まれたのが「Batuka」だ。

ワールドカップが近づいてきた。カポ・ヴェルデのことを思う。

ワールドカップが近づいてくると、「今年はどんな国が旋風を巻き起こすだろう」と考える。
次は、カポ・ヴェルデだろう。

予選では何度もジャイアント・キリングを演じてきた、西アフリカの人口約50万の小国。
その国が、ついに本選出場を決めた。

彼らがピッチに立つとき、スタジアムにはきっと「Batuque」のリズムが響く。
あの、女性たちの太鼓と手拍子と声が作り上げてきた力強いビートだ。

サッカーの躍動と、バトゥケの躍動。
この国の“勢い”は、もしかしたら女性のパワーが支えているのかもしれない。

もしそんなリズムがワールドカップの会場を揺らす日が来たら──
それだけで十分に胸が熱くなる。

音楽とスポーツが同じ方向に風を起こす瞬間。
その光景を勝手に想像してしまう。

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About

世界の音楽との「出会い」(自己紹介 noteへのリンク) 大阪のレコード店で出会ったインドネシアのダンスミュージック ダンドゥット(DANGDUT)の女王、エルフィ・スカエシ(Elvy Sukaesih)と言ってもまずは誰もわからないだろう。インドネシアの美空ひばりと言ってもピンとこないな、きっと。それに正しくもない。インドネシアは多様な民族の集まる国だから国民を代表する歌手はいない。ひとつの大衆音楽の女王である。 大袈裟だが、このレコードと出会わなかったら、自分の人生は変わっていただろうと思う。ただ、それはわからない。でも、出会うべくして出会ったのだろう。 https://note.com/jirorhythm/n/n936acb145d0e

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