World Music|世界の音楽とことばのアーカイブ

アフリカ、インド、中東、南米、東欧、バリ、ジャズ、民謡、スーフィー、クラシックまで。 蒐集・試聴・旅・記録を通じて世界の音楽文化を紹介する日本語のワールドミュージック・メディア。

Monday, 19/1/2026 | 11:14 UTC+9

アフリカの音楽は、太鼓と声、そして土地の記憶でできている。
マンデ、ヨルバ、グリオ、サヘルの乾いた風のリズム。
アフリカ大陸に広がる多様な音の系譜を、旅と試聴を通して紹介します。

アフリカの音楽を語るとき、
僕はいつも「最初の衝撃」のことを思い出す。

レコード会社で世界中の音楽を扱っていた時代、
段ボール箱を開けるたびに、知らない土地の風の匂いがした。
その中でもアフリカの音楽は、
他のどの地域とも違う“身体の奥に届く感覚”があった。

それはメロディやコードの美しさとは別のもの。
もっと根源的で、本能の記憶に触れるような力。

「音楽がまだ祈りであり、暮らしであり、物語であった頃の姿」

アフリカには、それが今も息づいている。


バラフォンの木の響き——森の奥の記憶を呼び覚ます音

最初に強烈に惹かれたのは、
ブルキナファソのバラフォンだった。ギニアやマリでも聴かれる。

木を打つだけのはずなのに、
どうしてこんなに“温かいかたち”の音が出るのだろう。

朝の光が差し込む森の中で、
ただ淡々と繰り返されるリズム。
そこに人の営みが流れ込んでくるような、
不思議な“安心”がある。
アフリカ音楽にも、
心を自然のリズムへ戻してくれる何かが確かにある。


グリオ(Griot)——物語を歌い継ぐ人々

西アフリカには“語り部の音楽”がある。
コラ(ハープのような弦楽器)を奏でながら、
王の歴史や家族の記憶、
民族の物語を歌い継いできた人たち。

彼らの音楽を聴くと、
音がただ美しいだけではなく、
「人の記憶そのものが歌になっている」
ということが伝わってくる。

サリフ・ケイタの『SORO』を車で聴いた夜の感覚。
胸の奥がいっぱいになり、
説明のつかない感情で満たされたあの瞬間。

あれは、
アフリカが持つ“言葉以前の力”に触れたということだ。


ドラムは「時間」の表現

アフリカの太鼓はただ叩く楽器ではない。
村の合図であり、
踊りの呼吸であり、
過去と現在を結ぶメッセージでもある。

ポリリズム(複数のリズムが同時に進行する構造)は、
まるで人間の複雑な心の動きをそのまま音にしたようだ。


アフリカ音楽は、世界の音楽の“根源”につながっている

ブルースも、ソウルも、ラテンも、レゲエも。
ほとんどの音楽はアフリカに源流を持っている。

それは知識としてではなく、
音の奥に流れる“脈拍”を感じれば誰でもわかる。

何故、アフリカに惹かれるのか。