アフリカの音楽は、太鼓と声、そして土地の記憶でできている。
マンデ、ヨルバ、グリオ、サヘルの乾いた風のリズム。
アフリカ大陸に広がる多様な音の系譜を、旅と試聴を通して紹介します。
アフリカの音楽を語るとき、
僕はいつも「最初の衝撃」のことを思い出す。
レコード会社で世界中の音楽を扱っていた時代、
段ボール箱を開けるたびに、知らない土地の風の匂いがした。
その中でもアフリカの音楽は、
他のどの地域とも違う“身体の奥に届く感覚”があった。
それはメロディやコードの美しさとは別のもの。
もっと根源的で、本能の記憶に触れるような力。
「音楽がまだ祈りであり、暮らしであり、物語であった頃の姿」
アフリカには、それが今も息づいている。
■ バラフォンの木の響き——森の奥の記憶を呼び覚ます音
最初に強烈に惹かれたのは、
ブルキナファソのバラフォンだった。ギニアやマリでも聴かれる。
木を打つだけのはずなのに、
どうしてこんなに“温かいかたち”の音が出るのだろう。
朝の光が差し込む森の中で、
ただ淡々と繰り返されるリズム。
そこに人の営みが流れ込んでくるような、
不思議な“安心”がある。
アフリカ音楽にも、
心を自然のリズムへ戻してくれる何かが確かにある。
■ グリオ(Griot)——物語を歌い継ぐ人々
西アフリカには“語り部の音楽”がある。
コラ(ハープのような弦楽器)を奏でながら、
王の歴史や家族の記憶、
民族の物語を歌い継いできた人たち。
彼らの音楽を聴くと、
音がただ美しいだけではなく、
「人の記憶そのものが歌になっている」
ということが伝わってくる。
サリフ・ケイタの『SORO』を車で聴いた夜の感覚。
胸の奥がいっぱいになり、
説明のつかない感情で満たされたあの瞬間。
あれは、
アフリカが持つ“言葉以前の力”に触れたということだ。
■ ドラムは「時間」の表現
アフリカの太鼓はただ叩く楽器ではない。
村の合図であり、
踊りの呼吸であり、
過去と現在を結ぶメッセージでもある。
ポリリズム(複数のリズムが同時に進行する構造)は、
まるで人間の複雑な心の動きをそのまま音にしたようだ。
■ アフリカ音楽は、世界の音楽の“根源”につながっている
ブルースも、ソウルも、ラテンも、レゲエも。
ほとんどの音楽はアフリカに源流を持っている。
それは知識としてではなく、
音の奥に流れる“脈拍”を感じれば誰でもわかる。
何故、アフリカに惹かれるのか。






