World Music|世界の音楽とことばのアーカイブ

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Tuesday, 11/8/2026 | 6:06 UTC+9

吉祥寺で出会ったハワイ

僕にとって、吉祥寺は音楽のまちだ。

学生時代は、当時付き合っていた美大のガールフレンドに連れられてLIVEを観に行った。伊勢丹では音楽イベントをよくやっていた。昔の百貨店ではそうだった。今では記憶も曖昧だが、吉祥寺には昔から音楽があった。

そのころは、まさか自分が音楽業界に入るとは思ってもいなかった。

その後、レコード会社で働くことになり、さらに自分でレーベルを立ち上げてからは、吉祥寺のワールドミュージック系のLIVEハウスにもよく通った。大手CDショップのバイヤーに会いに行き、自分のレーベルの商品を置いてもらうために交渉したこともある。

だから、僕にとって吉祥寺は買い物のまちではなく、音楽のまちなのである。

そんな吉祥寺でCOCONUTS DISKに行った。

いきなり、目に飛び込んできたのは、なんとドン・ホーのカセットテープである。

価格は550円。

画像

今さらドン・ホーを熱心に聴こうというわけではない。正直なところ、現在の耳で聴けば少し時代を感じる部分もあるだろう。

それでも、手に取らずにはいられなかった。

ハワイを愛する者として。

ワイキキには「Don Ho Lane」という通りもある。ドン・ホーは単なる歌手ではなく、一時代のハワイそのものを象徴する存在だった。

しかも、このカセットと出会ったのは、マウイ島から帰国した翌日のことだった。

テープのタイトルは『DON HO GOLD』。

収録曲を見る。

「Tiny Bubbles」
「Hanalei Moon」
「Hawaiian Wedding Song」
「I’ll Remember You」

どれも古き良きハワイを代表する曲ばかりだ。

なかでも目を引いたのは「Hanalei Moon」。

カウアイ島北岸のハナレイ湾を歌った名曲である。

僕はカウアイ島が好きだ。

あの湾に立つと、時間の流れ方そのものが変わるように感じる。

だから、この曲名を見つけた瞬間、買う理由は十分だった。ちなみに、この曲はドン・ホーのオリジナルではない。それでも僕にとっては、ハナレイ湾の風景を思い出させる一曲だった。

帰国したばかりの僕は、まだマウイ島の余韻の中にいた。

カアナパリの海。

ラナイ島とモロカイ島の間へ沈む夕陽。

夜明け前の静かな時間。

そして、新月の翌日に現れた細い舟形の月。

そんな風景を見たばかりだった。

だから、このカセットは単なる中古品ではなかった。

ハワイの記憶の続きだった。

音楽には不思議な力がある。

曲そのものよりも、その曲を聴いていた場所や時間を閉じ込めていることがある。

このカセットもそうだ。

誰かが昔、ハワイで買ったのかもしれない。

あるいは日本でハワイに憧れながら聴いていたのかもしれない。

そのテープが何十年も経って吉祥寺へ流れ着き、マウイ帰りの僕の手元に来た。

考えてみれば不思議な縁である。

音楽は川だと思う。

人から人へ。

場所から場所へ。

時代から時代へ。

流れ続ける。

550円で買ったのは途中で止まってしまう古いカセットテープだった。でも、「Hanalei Moon」が聴ければ充分だった。

そう言えば、その日の朝、妻と来年はカウアイ島へ行こうと話していたところだった。

ハナレイ湾の月は、まだ見ていない。

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世界の音楽との「出会い」(自己紹介 noteへのリンク) 大阪のレコード店で出会ったインドネシアのダンスミュージック ダンドゥット(DANGDUT)の女王、エルフィ・スカエシ(Elvy Sukaesih)と言ってもまずは誰もわからないだろう。インドネシアの美空ひばりと言ってもピンとこないな、きっと。それに正しくもない。インドネシアは多様な民族の集まる国だから国民を代表する歌手はいない。ひとつの大衆音楽の女王である。 大袈裟だが、このレコードと出会わなかったら、自分の人生は変わっていただろうと思う。ただ、それはわからない。でも、出会うべくして出会ったのだろう。 https://note.com/jirorhythm/n/n936acb145d0e

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