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Monday, 19/1/2026 | 8:45 UTC+9

南アフリカの音楽──天才ペニー・ホイッスル奏者 “KING of KWELA” Spokes MashiyaneからTOWNSIP JAZZへ

今朝はヘンデルのオルガン協奏曲を聴いていた。
春みたいに明るくて、部屋の空気が軽くなるような音だ。
でも、なぜか急に違う風の吹く音が聴きたくなった。
机の端に置きっぱなしにしていた南アフリカの古いカセット。その存在を思い出した瞬間、手が自然と伸びていた。


カセットテープが甦らせた、南アのリズム

南アフリカには行ったことがない。だからこそ、どこか勝手な先入観を持って聴いていたのだと思う。
このカセットをもらったのは、ずっと昔。新譜のサンプルとして届けられたものだ。同業者として「よくこんな音楽を発売するな」と、一瞬だけ思った記憶がある。

ところが、再生した瞬間に世界が変わった。

「楽しい。」
「えっ?」
「こんな音楽あるの?」

あの跳ねる感じ。あの素朴なのに鋭いペニー・ホイッスル。
曲によってはピアノが入り、弦楽器が寄り添い、タウンシップの空気がこちらへ吹き込んでくる。

何十年も前に聴いたときにも「なかなか良かった」という印象があったが、今日の再発見は鮮烈だった。

今朝、気まぐれに1曲目だけYouTubeに上げてみた。
すると、カセットの中に眠っていた南アのリズムが、思っていた以上にいまの自分に響いた。


“KING of KWELA” Spokes Mashiyane の天才性

カセットに刻まれていたのは、Spokes Mashiyane(スポークス・マシヤネ)
1950〜60年代に南アで人気を博し、“クワイラの王”と呼ばれたペニー・ホイッスル奏者だ。

クワイラ(Kwela)は、南アのタウンシップで生まれたストリート音楽。
金属パイプのような素朴な縦笛一本で、ジャズとアフリカン・リズムが溶け合う。

Mashiyane の音はどこか無邪気で、どこか哀しくて、どこまでも自由だ。

  • 跳ねるビート

  • 滑らかに転がるメロディ

  • ストリートの歓声が聴こえてくるような軽やかさ

“ペニー・ホイッスルでここまで出来るのか”と驚かされる。


タウンシップ・ジャズへの広がり

南アの音楽には、クワイラと並んでタウンシップ・ジャズという大きな流れがある。
ヒュー・マセケラ、アブドゥーラ・イブラヒム、モンゲジ・フェザ──
彼らの音には、アパルトヘイト下の悲しみや祈りが影を落としながら、それでも“希望の光”が宿っている。

今日はヘンデルから離れ、少しだけ南アフリカの空気に身を委ねてみることにした。

余韻

何十年も前のカセットが、突然こちらに語りかけてくる朝がある。
音楽は、本当に不思議だ。

ヘンデルの明るい春のような音色から、南アの跳ねる風へ。
大陸もジャンルも違うのに、その飛躍が今日の僕にはとても自然だった。

古いテープの中の小さな笛の音が、いまの僕の心をいちばん軽くしてくれている。

クワイラの軽やかさの奥には、タウンシップで育まれた
ジャズや祈りの音楽がしずかに流れている。
それは後のヒュー・マセケラ、アブドゥーラ・イブラヒムへとつながっていく。

  • Abdullah Ibrahim (Dollar Brand)
    → 南アジャズの精神的支柱。

  • Hugh Masekela
    → 世界的トランペッター。“ソウェトの光”と言われる存在

  • Mongesi Feza
    → 叙情の天才。英国ジャズとの融合も魅力

  • Dudu Pukwana
    → ブルースとジャズの熱量を体現したサックス奏者

もしタウンシップ・ジャズをさらに聴きたくなったら、
アブドゥーラ・イブラヒムの『African Piano』から始めるといい。
その静けさと祈りは、クワイラともどこかで繋がっている。

クワイラの明るさの背後には、
同じタウンシップで育ったもうひとつの大きな流れ──
タウンシップ・ジャズ がある。

静けさの中で揺れるピアノ。
夜明け前のような深い余白。

その代表格であるアブドゥーラ・イブラヒムの『African Piano』を聴くと、
クワイラの跳ねるリズムとはまったく違うのに、
なぜか同じ南アの光が差してくる。

🟦 ちなみに:Kwela の語源(豆知識)

Kwela はズールー語のスラングで
「上がれ」「乗れ」「逃げろ」 のような意味。

警察が来たときに
「Kwela!(逃げろ!)」
と叫んだのが由来、という説が有名。

だから、
跳ねる・軽快・ストリート感
が音楽そのものに宿っている。

About

世界の音楽との「出会い」(自己紹介 noteへのリンク) 大阪のレコード店で出会ったインドネシアのダンスミュージック ダンドゥット(DANGDUT)の女王、エルフィ・スカエシ(Elvy Sukaesih)と言ってもまずは誰もわからないだろう。インドネシアの美空ひばりと言ってもピンとこないな、きっと。それに正しくもない。インドネシアは多様な民族の集まる国だから国民を代表する歌手はいない。ひとつの大衆音楽の女王である。 大袈裟だが、このレコードと出会わなかったら、自分の人生は変わっていただろうと思う。ただ、それはわからない。でも、出会うべくして出会ったのだろう。 https://note.com/jirorhythm/n/n936acb145d0e

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