ガーナのパームワイン・ミュージックと Koo Nimo
2026年1月12日
〜アフリカの港町で生まれた、ギターと歌の静かな革命〜
西アフリカ・ガーナには、**「パームワイン・ミュージック(Palm Wine Music)」**と呼ばれる、独特の音楽文化があります。
その名前は、ヤシの木から採れる発酵酒「パームワイン」に由来します。
1930年代以降、港町や酒場で、庶民がこの酒を飲みながら楽しんだのが、この音楽でした。
大音量のダンス音楽でもなく、宗教音楽でもない。
ギターと歌を中心に、静かに繰り返されるリズムとメロディ。
それは、西アフリカの人々の日常と感情に寄り添う、極めて“生活に近い音楽”でした。
Koo Nimo(コー・ニモ/クー・ニモ)という存在
このパームワイン・ミュージックを代表する音楽家が
**Koo Nimo(コー・ニモ/現地発音ではクー・ニモ)**です。
彼は単なる酒場のギタリストではありません。
ガーナのクマシ大学で化学を学び、イギリス留学も経験した知識人でありながら、
自国の伝統音楽をギターで表現する道を選びました。
ジャズやクラシックを聴きながらも、
「自分はアフリカのギタリストでありたい」と語り、
トゥイ語の歌と伝統的な旋律を、
西洋ギターで再構築することに人生を捧げた人物です。
「Osabarima」— パームワイン・ミュージックの結晶
このCD
『The Real Palm Wine Music – Osabarima』
は、Koo Nimoの音楽世界を最も純粋な形で記録した作品のひとつです。
そこにあるのは:
-
シンプルなアコースティック・ギター
-
語りかけるような歌
-
コンガや小さなパーカッションの反復
派手さはありません。
しかし聴いていると、次第に時間の感覚がほどけていく。
音楽が“環境”になる瞬間が訪れます。
これは「鑑賞する音楽」ではなく、
**「そこに在る音楽」**なのです。
なぜ今、パームワイン・ミュージックなのか
現代のアフリカ音楽は、ハイライフ、アフロビート、ヒップホップへと進化しました。
しかし、Koo Nimoの音楽には、
**それ以前の“アフリカがまだ世界と急激に混ざる前の音”**が残っています。
それはノスタルジーではなく、
文化の深層に触れる体験です。
ワールドミュージックとは、
「珍しい音楽」ではなく、
**「遠い場所の人々の人生を、音で感じること」**なのだと、
この1枚は静かに教えてくれます。
ハイライフ・ルーツ・リヴァイヴァル/コー・ニモ







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