フランスから始まった“世界音楽”の波 ― ジプシー・キングス、モリ・カンテ、そしてmusiques du mondeという概念
1980年代後半、フランスでは不思議な“音のうねり”が起きていた。
モリ・カンテの「Yé ké Yé ké」がヨーロッパ中のクラブを揺らし、ジプシー・キングスがルンバ・フラメンコの旋律で街角からファッションショーまでを席巻していた。

当時、僕はそれをただ「カッコいい音楽」として受け取っていたけれど、いま振り返ると、これは単なる流行ではなかった。フランスという国が“音楽”というメディアを使って「外の世界」とどうつながるかを模索し始めた、その文化運動の一端だったのだ。
ミッテラン政権下、文化は“国家戦略”だった。彼の選挙キャンペーンにジプシー・キングスの音楽が使われたというのも象徴的だ。
「musiques du monde(世界の音楽)」という概念は、そんな時代の空気の中でフランス語圏から生まれ、育まれていった。






