World Music|世界の音楽とことばのアーカイブ

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Monday, 19/1/2026 | 10:02 UTC+9

インドの奥の奥へ「Psychedelic India」

ちょっとディープなインドのサイケ・サウンド。バックグラウンドで流していても、ふとした瞬間にグッと入ってくる。


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“インド音楽の深層”と“クラブミュージックの陶酔”が見事に融合した一枚。伝統旋律・マントラ・パンジャーブ音楽・ボリウッド的メロディ、
そして電子音が一体化し、まるで夜のガンジスの流れのようにゆっくりと精神をトランス状態へ導いていく。

本作は、単なるエスニック・コンピレーションではない。
**インドの魂と現代エレクトロニカが交わる“音響の旅”**だ。
とくに、ラーガの旋法と反復ビートの組み合わせは、このアルバムならではの魅力として鮮烈に響く。

【曲目解説】
1. Bombay Gypsy – 5:10 / Sir Raju Bangali

イントロから一気に旅情をかき立てる、ムンバイのエネルギーそのもののトラック。シンセの揺らぎと、パンジャーブ系ボーカルの粘りが“現代ジプシー
音楽”のような浮遊感を生む。都市の雑踏と伝統が混ざり合う、アルバムの象徴的な1曲。

2. Bombay Nights – 4:18 / Rajiv Basam Singh

夜のムンバイをドライブしているような、クールで都会的な質感。電子音の深いレイヤーの中に、ラーガ由来の独特の節回しが浮かび上がる。クラブと
ストリートが自然に同居する優美なナンバー。

3. Punjabi Secrets – 5:55 / Sir Raju Bangali

パンジャーブ音楽らしい跳ねるリズムが印象的。声のコブシが電子ビートとぶつかりながら、次第にグルーヴを増す。伝統舞踊のにぎわいと、サイケな
音像が絶妙に混ざり合った強烈な一曲。

4. Maha Ganapati Mool Mantra – 5:07 / Various Artists

ガネーシャを讃えるマントラを、エレクトロニカで大胆に再構築。神秘的な詠唱はそのままに、低音の波が瞑想空間をより深く彩る。精神世界に沈み込
みながら踊れる、稀有なトラック。

5. Intimacy – 5:58 / Javed Ali

ボリウッドの人気歌手 Javed Ali による甘美なヴォーカルが、電子音楽の海に浮かぶ。親密さ・官能性をテーマにした歌声が胸に迫る、アルバム中も
っともメロディアスな楽曲。

6. Tanana Dhin – 7:05 / Archana

伝統打楽器の「ディン」という音型が、トランス的なループに変換される。女性ボーカル Archana の伸びやかな歌声がスピリチュアルで、7分を超える
“儀式的な恍惚”を生む。

7. Rangeela Re – 5:24 / Prem Pujari

カラフルという意味を持つ“Rangeela”。タイトル通り、ポップで明るく、インド映画の世界へ一気に連れていく。伝統メロディとクラブサウンドの
軽やかな幸福感が魅力。

8. Hai-O-Rabba – 5:15 / Saire Khan

パンジャービー音楽特有の掛け声と力強いビート。躍動感に満ちた男性ボーカルが映える、ダンス性の高い一曲。祝祭の空気が全身を駆け巡る。

9. Puraya Dhanashree – 3:12 / Upendra

ラーガ“Dhanashree”を題材にした古典的な構造を、現代的なミニマルに落とし込んだ佳作。短いながらも濃密で、アルバム全体の中でよいアクセントになっている。

10. Journey To Pleasure – 5:15 / Various Artists

シタール的旋律が電子処理され、音の粒が宙に舞う。中盤のリズムブレイクは圧巻で、心身がゆっくりと“至福(Pleasure)”のゾーンへ入っていくのを感じる。

11. Farewell (Punjabi Heer) – 8:06 / Various Artists

パンジャーブの叙事詩“ヒール(Heer)”をモチーフにした、壮大なエンディング曲。別れ“Farewell”をテーマにした旋律が胸を刺し、民族音楽の哀愁とエレクトロの沈静が美しく混ざる。
アルバムを締めくくるにふさわしい、深い余韻を残す作品。

電子音楽と伝統音楽の“境界”を軽々と越えた作品集。
リスナーは、ムンバイの夜、パンジャーブの平原、祭りの熱気、寺院のマントラ、ボリウッドの輝き――そんな多彩なインドを旅することになる。

まさに “音で巡るインドの万華鏡”。

アニマ・ミュージックCDの全作試聴ファイルページ

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